2021.05.31

6月号:スランプからの脱出

勉強をする上で、部活動をする上で必ずうまくいかないなぁと思い、徐々にやる気が低下していくことがあります。それは、誰にでもあります。そんなとき、その状態から脱するために、みなさんならどんな心持ちでどうしていくことが大切だと思いますか?
私は、うまくいかないとき、スランプのとき、その状態から脱するために心掛けていることがあります。その方法とは、他の人を喜ばせることです。自分のことだけ考えていると、どうしても自己中心的で鬱(うつ)のような状態になってしまいます。そんなときの私の心持ちは、「人のためになることをする」「誰かに喜んでもらえるようなことをする」と考えるようにしています。すると、道が開けていき、気持ちも充実してくることを体験的に知っています。では、なぜこういうことになるのでしょう。
まず、「人のためになることをする」には、その人のことを考えることから始めなくてはなりません。この瞬間、すでに自分のことは二の次になっています。さらに、その人を「喜ばせる」には、創意・工夫が必要になり、その人のことをもっとしっかり考えることになります。この時点で、おそらくスランプの出口に近づいてきていると思います。そして、その人が喜んでいる様子を感じたとき、そのときには、損得勘定のない満足感が生まれています。そのことをきっかけにして、今までとは違う「新しい自分」が生まれるのではないかと思います。
「喜ばれることをする」というシンプルな方法として掃除があります。実は本校の先生方は、みなさんがいないとき、みなさんのことを思いながらいろんなところをきれいにされています。また、部活動生による朝清掃も見かけます。いつもありがとうございます。
また、勉強や部活動の成果のスランプだけでなく、単に対人関係のスランプもあります。これは相手の人間性や考え方が大きく影響するところです。だから、なかなか思ったような脱出ができないことがあります。「長所と交われば悪人なし」ということわざがあります。世の中で活躍しよう、自分の人生をよい方向に導いていこうと考えるなら、「基本的には他人の良いところや長所を見つける」ということを考えることが大切だと思います。他者に対して批判ばかりしていると、間違いなく自分にそのままそのうち返ってくるからです。学校ではさまざまな活動の後、「他者のよいところ探し」という時間をよく設けます。自分の長所を見つけてくれる人に対しては、たいていの場合、「いい人だ」「友だちだ」と思うし、「一緒にいたい」「付き合いたい」と思うものです。
このように、対人関係のスランプを脱し、人間関係を良好にし、友だちを増やしたいと思うなら、「なるべく人の良いところを見るようにする」ことが大切だと思います。そして、思いやりのある発信・受信を大切にする力を今磨いてほしいと思います。この力は、これからの人生で活用できる大きな財産になります。