高校2年生最後の世界史の授業で、「平和と戦争ゲーム」を行いました。
高校3年生の世界史で学習する、主権国家同士での外交交渉の駆け引き、戦争の激化を知るための導入としての試みでしたが、ロシアによるウクライナ侵攻という現在の世界情勢にも通じるところがあり、生徒たちも意欲的に取り組んでくれました。
「平和と戦争ゲーム」は、なぜ戦争が起こるのか、平和外交がうまく機能しない理由などを、トランプを使って体験するゲームです。
授業では、世界史らしく中国の歴代皇帝が描かれたトランプを使用しました。
ゲームの進め方は以下のような形です。
① 生徒は3人1組となり、トランプ12枚のデッキをもちます。
配られた12枚のトランプのうち、A~6は「平和」のカード、7~Qは「戦争」のカードです。
生徒たちは一国の代表者団として、対戦相手国の代表者団と外交交渉(例:「戦争は勝っても負けても国にダメージを与えるから、お互い平和のカードを出そうよ」)を行います。
② 合図とともに選んだカードを出し、結果に応じた点数をつけます。例えば、A国が戦争のカード(7~Qのいずれか)、B国が平和のカード(A~6のいずれか)を出すと、A国に5点、B国には0点、というように、あらかじめ点数の配分が決まっています。
③ これを6回×4セット繰り返して、最も総合得点の高い方のチームが勝利します。
さらに、ゲームの途中で追加ルールが設定されます。
デッキにKのカードが1枚ずつ加わります。Kのカードは「核攻撃」のカードで、ゲーム中に必ず使用する必要はありません。
「核攻撃」を行うと、使われた側の得点がリセットされ、互いに「核攻撃」を行った場合は両者とも得点がリセットされます。
核兵器が戦争を防ぐための抑止力たり得るのか、生徒たちはどきどきしながら次に出すカードを選んでいました。
ゲームを通して、以下のような感想が得られました。
・互いが相手国のことを信頼できないと、平和を出すのは難しい。
・相手国の考えていることや、どうやったら相手国に平和を出してもらえるかが、だんだん分からなくなっていった。
・平和のカードを出そうと相手国に持ち掛けたのに、点数を稼いで勝つために戦争のカードを出してしまった。
・「核攻撃」のカードを使わない方がいいが、相手が使うかもしれないと思うと使ってしまいそうになる。
・外交官の気持ちが少しだけ分かった。ゲームだから誰も死なないけど、現実だととても荷が重いんだろうなと思った。
・「核攻撃」のカードを出すタイミングが難しい。出すと撃たれるし、出さないでいても撃たれる。
・核兵器は物理的な強さだけでなく、外交的な強さを持てる手段でもあることが分かった。
互いの考えをよみあって平和を保つことは非常に難しいこと、核を持つことで互いに不安になることなどから、外交交渉の難しさを知ることができたと思います。
戦争はよくないといった心づもりや、平和を主張するだけでは現実的に限界があることを実感し、より具体的な国際平和の方法や組織活動を考えるきっかけとなってくれれば嬉しいです。