【後期02】特別講座:教養・万葉の歌と心 第3講・第4講

【第三講:10/8】 黄葉する悲しみ―柿本人麻呂の挽歌から―
柿本人麻呂は、『古今集』(仮名序)に「歌の聖」と書かれるほど、後代にすこぶる評価の高い歌人です。おどろくことに、万葉集に作歌87首さらに『柿本人麻呂歌集』歌377首をくわえると、万葉集全歌の十分の一ほどが人麻呂歌だということになります。
ここでは人麻呂の歌から挽歌「妻の死にし後に、泣血哀慟して作る歌」(巻2・二〇七~二一六)と題された作品を読みましょう。人麻呂は逝った妻を悼んで、「秋山の黄葉をしげみ惑ひぬる妹」とうたいます。妻は黄葉した山路で迷ってしまったのだ、と。歌の表現をたどってみると、そこに万葉びとの死生観をうかがうことができそうです。【第四講:12/10】 凍てつく大地―山上憶良の皮膚感覚―
歳の瀬が近づいてくると、横浜駅西口で活動していた救世軍のラッパとぶら下げられた社会鍋を思い出します。憶良の「貧窮問答の歌」(巻5・八九二、八九三)を読み返すと、けっして巧みとはいえそうもないけれど、それでも温かいラッパの音色と社会鍋のある、あの師走の風景が思い出されてきます。
貧しさとは「耐えがたい寒さ」と「腹がへっている辛さ」だというのは、東アジア文学の基調です。百済滅亡時の渡来人であり、今日「人間詩」の歌人と称される憶良は、貧しさをどのようにうたっているでしょうか。
講座の詳細

講師 | 東 茂美/福岡女学院大学 名誉教授・文学博士 |
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講座形式 | 対面 |
開講日 | 第4講:12/10 ※【第3講】【第4講】の1日だけの受講もお選びいただけます。1日だけ受講される場合は講座申込フォームの備考欄に希望の日程をご記入ください。 |
開講曜日 | 水曜 |
開講時間 | 13:30~15:00 |
受講料 | 各2,000円 【第3講+第4講】4,000円 ※1回のお支払いにつき事務手数料500円かかります(複数講座お申込可)。 |
教材費 | 各200円 【第1講+第2講】400円 |
備考 | ※【第3講】【第4講】の1日だけの受講もお選びいただけます。1日だけ受講される場合は講座申込フォームの備考欄に希望の日程をご記入ください。 |