資料室ジャーナル 第2号
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学院資料室 講師 井上 美香子1創立者 J.M.ギールJ.M.ギール(注Jennie Margaret Gheer)は、1846年に米国ペンシルベニア州ベルウッドで誕生し、1879年に婦人外国伝道会の宣教師として来日した。長崎でエリザベス・ラッセル(Elizabeth Russell)の協力者として活水女学校(現在の活水学院)の設立に力を尽くした後、1885年に福岡で英和女学校(現在の福岡女学院)を創立した。このJ.M.ギールについて、第二次世界大戦下の戦災により福岡女学院の校舎が焼失したため、彼女に関する資料は学院に殆ど残っていない。そのため、学院の創立者であるJ.M.ギールに関する資料の調査・収集は、学院史を編纂する上で大きな課題であるといえる。そこで学院資料室では、キリスト教神学を専門とする徐亦猛氏(福岡女学院大学国際キャリア学部国際キャリア学科教授)、学院の歴代宣教師について調査をすすめているMillikan, Stella氏(福岡女学院大学短期大学部英語学科講師)に協力を得、本学の助成事業である学院活性化推進助成(2020年度、研究期間:1年間)を受けるかたちで、J.M.ギールに関する国内外での資料調査を2020年度に実施することを計画していた。しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行に伴い、2020年4月7日には新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が福岡県でも発令され、不要不急の外出の禁止・県をまたぐ移動や外国への移動等が大きく制限されることとなった。そのため、国外での調査も視野に入れた本格的な資料調査の実施を見送らざるを得なくなった。そこで、2020年度は国内外の図書館などから取り寄せることが可能な資料を調査・収集することにつとめ、J.M.ギールが行った宣教活動の詳細や彼女の人物像等の把握を行うこととした。本号では、「特集 J.M.ギール」と題し、「J.M.ギール宣教師の逸話」(徐亦猛)、「“Send Forth Reapers!” Gheer’s Bible-Women in Meiji Japan」(Millikan, Stella)を掲載した(日本語訳については、6頁〜9頁に掲載)。徐氏はJ.M.ギールの人物像が垣間見えるエピソードについて、Millikan, Stella氏はJ.M.ギールの宣教活動の詳細について紹介している。今後は、新型コロナウイルスの終息を待ち、当初予定していたJ.M.ギールに関する国内外での資料調査を実施したいと考えている。注:ギールの墓碑名には、Jeanと記されているが、日本での宣教活動では、その殆どでJennieを用いている。本ジャーナルではJennieに統一した。特集 J.M.ギールについて特集 J.M.ギールについて 

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