資料室ジャーナル
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1.はじめに 福岡女学院資料室(以下、学院資料室)の目的は、「福岡女学院の歴史及び伝統を後世に継承するために学院史に関する資料の収集、保存、調査、研究等を行い、本学院の発展に寄与すること」である。こうした目的のもと、「(1)資料の収集、整理及び保存、(2)資料の展示、閲覧、貸出および情報の提供、(3)学院史の調査及び研究、(4)学院史に関する出版物の編集及び刊行、(5)その他必要と認める事業」を主たる業務としている(以上、「福岡女学院資料室規程」)。ここでは、学院資料室をアーカイブズとして整備しその充実に本格的に着手し始めた2017年度から2020年3月現在までの活動のうち、(1)~(3)に該当する諸活動の一部として実施した、オーラルヒストリーの実施、自校史教育支援、特別展示の開催について報告したい。 2.業務内容 (1)資料目録の作成とデータベース化 アーカイブズの最も重要な業務の1つに、資料の収集と整理および目録の作成がある。学院資料室でも、150年史編纂にむけた資料の収集と整理、その目録の作成を行ってきた。 2019年度には学院広報誌である『時報』・『Mission』の記事索引のデータベース化を行った(データベースの使用は学内限定)。現在、学院が発行した新聞のデータベース化に向け作業をすすめている。 今後は、学院発行誌や一般紙に掲載された学 福岡女学院資料室 講師 井上 美香子 院関係の新聞記事索引を作成し、順次、データベース化をすすめる予定である。 (2)オーラルヒストリーの実施 福岡女学院はこれまで、幾度にもわたる校地の移転を繰り返してきた。とくに、現在の曰佐校地に移転する以前の1919年から1960年3月までを過ごした薬院校地は、1945年6月19日の福岡大空襲により校舎を焼失している。 繰り返し行われた校地の移転と戦災の影響から、福岡女学院に関する戦前の資料は非常に少ない。また、戦前および終戦直後の福岡女学院(当時は福岡女学校)を知る元教職員や同窓生の高齢化が進んでいる。福岡女学院は2035年に創立150年を迎えるが、その150年史編纂をすすめる上で不足している資料を補い、現在の曰佐校地に移転する以前の校地での学校の記憶を残していくため、2017年度より学院資料室では積極的にオーラルヒストリーを実施してきた。 2017年度に実施した「福岡女学院史を語る 会」(全9回)では、寺園喜基院長のもと、元教員および卒業生に対し座談会形式でオーラルヒストリーを実施した。ここでは、戦前から終戦直後にかけての福岡女学校(1948年より福岡女学院)の学校生活、短期大学や大学の開学、学部増設の経緯などをテーマとした。ここで得た情報を足掛かりにその内容を膨らませ発展させる形で、2018年度から2020年3月にかけてさらに計10回のオーラルヒストリーを同窓生、元教職員に対して実施した。2020年度に大学が開4 福岡女学院資料室ジャーナル 創刊号 (2020年) 福岡女学院アーカイブズの構築に向けた取り組みについて

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